歯の神経を取ると、歯に何が起こるのか。「神経を取りましょう」と言われたときに確かめたいこと
こんにちは。香川県高松市で咬み合わせを専門とする「吉本歯科医院」院長の吉本彰夫です。
「虫歯が深いので、神経を取りましょうと言われた」
「しみるのがつらいので、いっそ神経を取ってほしい」
「神経を取ったら、もう痛くならないのでしょうか」
こうしたご相談を、毎日のようにいただきます。痛みやしみる症状が続くと、「神経を取れば楽になる」と考えるのは自然なことです。
これまでに神経を取った歯があっても、それは、あなたのせいではありません。痛みを止めるために必要な治療だったことも多く、神経を取ったあとに歯に何が起こるのかを、詳しく聞く機会がなかっただけなのです。
この記事では、歯の神経を取ると歯に何が起こるのか、そして「神経を取りましょう」と言われたときに、決める前に確かめておきたいことをお伝えします。
歯の神経は、何をしているのか

歯の表面はとても硬い組織でできています。その内側はトンネルのようになっていて、中を神経と血管が通っています。この神経と血管をまとめて、歯髄(しずい)と呼びます。
歯の神経には、大きく2つの役割があります。
- ① 痛みやしみる感覚で、歯の異常を知らせる「警報」の役割
- ② 血管とともに歯の内側に栄養と水分を届け、歯のしなやかさを保つ役割

神経を取る治療(抜髄・ばつずい)では、細い器具でトンネルの中の神経を取り除きます。このとき、神経と一緒に血管も取り除かれます。つまり、神経を取るということは、この2つの役割を同時に失うということなのです。
神経を取ると、歯に起こる4つの変化
1. 痛みの「警報」が鳴らなくなる

神経を取ると、その歯は痛みやしみる感覚を感じなくなります。一見よいことのように思えますが、「しみる」「痛い」は、体が歯の異常を知らせてくれるサインです。
警報が鳴らなくなると、その歯にもう一度虫歯ができても、根の先に炎症が起きても、ご自身では気づきにくくなります。気づいたときには、かなり進んでいた、ということが起こりやすくなるのです。

2. 歯がもろく、割れやすくなる
神経と血管がなくなると、歯の内側に栄養や水分が届かなくなります。生きている木の枝は、曲げてもしなりますが、枯れ枝はちょっとした力でポキンと折れてしまいます。神経を取った歯も、これと同じように、もろく割れやすくなっていきます。
また、神経を取る治療では歯の内側を削るため、歯の壁そのものも薄くなります。生きている歯なら問題のない噛む力でも、神経を取った歯には負担になることがあるのです。
3. 根が割れる(歯根破折)ことがある

もろくなった歯に強い力がかかり続けると、歯の根が割れてしまうことがあります。これを歯根破折(しこんはせつ)と呼びます。根の深くまで割れてしまうと、歯を残すことが難しくなります。
→ 歯根破折について詳しくは:https://www.kagawacsw.jp/2022/02/25/歯根破折と診断を受けた方へ/
4. 歯の色が変わる

神経を取った歯は、時間がたつにつれて、黒っぽく、くすんだ色に変わっていくことがあります。前歯の場合は、見た目が気になって被せ物をすることになり、さらに歯を削ることにつながる場合もあります。
→ 神経を取った歯に、その後起きること(解説ページ):https://www.kagawacsw.jp/juken-html/
「神経を取りましょう」と言われたときに確かめたいこと
もちろん、神経を取る治療が必要な場合もあります。細菌が神経の奥深くまで入り込み、強い痛みが続いている場合などは、神経を取ることで痛みから解放されることも少なくありません。
ただ、一度取った神経は元に戻りません。だからこそ、取ると決める前に、次のことを確かめておくことをおすすめします。
- ① 細菌は、本当に神経まで届いているのか
- ② 痛みは、冷たいものなどで一時的にしみる痛みか、何もしなくてもズキズキ続く痛みか
- ③ 痛みの原因は虫歯なのか、それとも噛む力によるひびや、咬み合わせなのか
とくに③は見落とされやすい点です。噛む力が一部の歯に集中して、小さなひびから痛みが出ていることもあります。この場合、神経を取っても力の偏りは残るため、今度はその歯が割れやすくなってしまいます。
当院では、パノラマレントゲンと咬み合わせの検査で、痛みの原因がどこにあるのかを確かめます。必要に応じてCT撮影(自費・22,000円税込、ご説明と同意のうえで撮影)で、虫歯の深さや根の状態を立体的に確認します。
神経を残す治療という選択肢
当院では、特殊な薬剤で細菌を殺し、歯と詰め物のすき間をしっかり封鎖する「特殊接着封鎖技術」で、削る量を抑え、できる限り神経を残す治療を行っています。院長の吉本彰夫は、四国の開業医では唯一の接着歯学認定医です。
ただし、虫歯の深さや細菌の広がり、痛みの種類によっては、神経を残すのが難しい場合もあります。残せるかどうかは、検査の結果をお見せしたうえでご説明します。
→ 神経を残す虫歯治療(入口ページ):https://www.doctornet.jp/
→ 根管治療(歯の神経治療)について詳しくは:https://a-kawaramachi.com/
こんな方は一度ご相談ください
- 「神経を取りましょう」と言われ、迷っている
- 冷たいものや甘いものが、ときどきしみる
- しみるのがつらく、神経を取ってしまいたいと考えている
- すでに神経を取った歯が何本もある
- 神経を取った歯の色が、黒っぽく変わってきた
- 食いしばり・歯ぎしりを指摘されたことがある
- 神経を取った歯が、また痛むようになった
ひとつでも当てはまる場合、神経を取るかどうかを決める前に、痛みの原因を確かめておくことをおすすめします。
この記事のまとめ
✅ 歯の神経には、異常を知らせる「警報」と、歯に栄養を届けてしなやかさを保つ役割がある
✅ 神経を取ると、痛みに気づきにくくなり、異常の発見が遅れやすくなる
✅ 神経を取った歯は、もろく割れやすくなり、色が変わることもある
✅ 取ると決める前に「細菌が神経まで届いているか」「痛みの種類」「原因は力ではないか」を確かめる
✅ 状態によっては、削る量を抑え、神経を残す治療を選べる場合がある
よくあるご質問
Q1. 神経を取れば、その歯はもう痛くならないのですか?
神経から来る痛みはなくなります。ただ、歯の周りの組織にも神経があるため、根の先に炎症が起きたり、強い力がかかったりすると、神経を取った歯でも痛むことがあります。
Q2. しみるのがつらいので、神経を取ってほしいのですが。
しみる原因が、虫歯なのか、歯ぐきが下がったことなのか、噛む力によるひびなのかによって、必要な対応は変わります。神経を取らずにしみる症状を抑えられる場合もあるので、まず原因を確かめることをおすすめします。
Q3. すでに神経を取った歯は、どうすれば長持ちしますか?
神経を取った歯は割れやすいため、その歯に力が集中しないようにすることが大切です。寝ている間の食いしばりから歯を守るマウスピースや、咬み合わせの調整が役立ちます。どの歯に力がかかっているかを、検査で確かめてみてください。
Q4. 神経を残す治療は、誰でも受けられますか?
虫歯の深さや細菌の広がり、痛みの種類によって、残せる場合と残せない場合があります。検査の結果をお見せしたうえで、残せるかどうかをご説明します。費用もあわせてご説明します。
Q5. 他の歯科医院で「神経を取る」と言われましたが、相談してもよいですか?
はい。神経を取るかどうかをご自身で判断していただくための相談として受けていただけます。検査の結果をお見せしてご説明しますので、いきなり治療を始めることはありません。
治療のご相談は
「神経を取ると言われたけれど、本当に取るしかないのか知りたい」「神経を取った歯を、これ以上悪くしたくない」──そう感じておられる方は、決める前に、痛みの原因がどこにあるのかを確かめてみませんか。
当院では、パノラマレントゲンと咬み合わせの検査で今の状態をお見せしたうえで、選べる方法をご説明します。
→ 神経を取った歯が痛む原因について:https://www.kagawacsw.jp/2022/03/19/根管治療をして神経がないはずの歯がずっと痛い/
ネット予約(24時間受付):https://www.cieasyapo2.ci-medical.com/1967/step1
お電話:087-818-1118(受付 9:15〜17:00、水・日・祝を除く)
執筆者
吉本歯科医院 院長 吉本彰夫
(一社)日本歯科専門医機構認定 補綴歯科専門医
(公社)日本補綴歯科学会認定 補綴歯科指導医
咬み合わせと補綴(入れ歯・被せ物など)を専門分野として、日々の診療にあたっております。
医療法人社団吉翔会 吉本歯科医院 香川県高松市屋島西町1968-9 TEL 087-818-1118

香川県 高松市 噛み合わせ専門歯科医院 吉本歯科医院の吉本彰夫。歯学博士。放送大学講師。歯を削らない治療・歯を抜かない治療・咬み合わせ治療を軸に診療を行っている。

