差し歯の根元や歯ぐきが黒ずんできた。原因は「金属の土台」かもしれません
こんにちは。香川県高松市で咬み合わせを専門とする「吉本歯科医院」院長の吉本彰夫です。
「差し歯の根元の歯ぐきが、黒っぽくなってきた」
「白い差し歯なのに、根元だけ暗く見える」
「笑ったときに、歯ぐきの色が気になる」

こうしたご相談をいただくことがあります。歯みがきが足りないのではないか、と気にされる方も多いのですが、それは、あなたのせいではありません。原因の一つとして考えられるのが、差し歯を支えている「金属の土台」です。
この記事では、金属の土台が見た目と歯の根にどんな影響を与えるのか、そして土台を選ぶときに知っておきたいことをお伝えします。
差し歯の中には「土台」が入っている

神経を取った歯に差し歯(被せ物)をするときは、まず歯の根に芯棒を立てて、被せ物を支える土台をつくります。これを支台築造(しだいちくぞう)と呼びます。
保険診療では、長く金属の土台(メタルコア)が使われてきました。2016年からは、ファイバーポストという白い芯棒を使った土台も、保険が使えるようになっています。
金属の土台が、歯や歯ぐきを黒っぽく見せることがある
金属の土台は、長い年月お口の中にあるうちに、少しずつ成分が溶け出すことがあります。溶け出した成分が歯の根や歯ぐきに沈着すると、差し歯の根元や歯ぐきが黒っぽく、暗く見えるようになることがあるのです。
また、歯ぐきが薄い方や、歯ぐきが下がってきた方では、歯の根の中にある金属の色が、歯ぐき越しに透けて見えることもあります。白い被せ物をしていても根元だけ暗く見えるのは、このためです。
黒ずみの原因は一つではありません。被せ物と歯の境目の虫歯や、歯ぐきの炎症が関わっていることもあります。どれが原因かは、お口の中を拝見し、レントゲンで確かめる必要があります。
金属の土台は、歯の根が割れる原因にもなる

金属の土台には、見た目のほかにも注意したい点があります。金属は歯よりもずっと硬い材料です。周りの歯の壁が薄い場合や、薪割りのような強い力がかかる場合には、金属の土台の先端に力が集中し、歯の根の方が割れてしまうことがあるのです(歯根破折)。
根の深くまで割れてしまうと、歯を残すことが難しくなります。差し歯の土台を金属でつくる場合は、こうしたことが起こりうることを、最初に知っておいていただきたいと思います。
→ 歯根破折で抜歯と言われた方へ:https://www.kagawacsw.jp/2022/02/25/歯根破折と診断を受けた方へ/
→ 神経を取ると歯に何が起こるのか:https://www.kagawacsw.jp/2020/07/28/歯の神経を取るとどんなことが起こるのか?/
ファイバーコアという選択肢
ファイバーコアは、ガラス繊維などで強くしたファイバーポストを芯にして、樹脂で土台をつくる方法です。ファイバーポストは歯の象牙質(ぞうげしつ)に近い性質を持ち、力が加わったときに弓のようにしなるため、金属の土台に比べて、歯の根を割れにくくする効果があると言われています。白い材料なので、歯ぐきが黒っぽく見える心配も少なくなります。
ファイバーコアにも、気をつけたい点がある
ただし、ファイバーコアなら何でもよい、というわけではありません。ファイバーコアは、歯と土台を「接着」させることで力を発揮します。接着の強さは、歯の表面の処理や乾燥のしかたなど、細かな手順に大きく左右されることが報告されています。接着が不十分だと、土台が外れてしまうことがあります。
院長が所属する公益社団法人日本補綴歯科学会からも、ファイバーポストを使った土台づくりについての診療指針が出されており、歯の側の接着面に適した表面処理を行うことが求められています。この表面処理が、実はとても繊細で難しい工程なのです。
当院の自由診療では、土台にファイバーコアを主に使っています。院長の吉本彰夫は、四国の開業医では唯一の接着歯学認定医です。接着の手順を一つひとつ確実に行い、歯と土台をすき間なく結びつけることを大切にしています。
→ 接着の処理が治療の結果を左右する理由:https://www.kagawacsw.jp/2020/11/30/何度も同じところが虫歯になっていませんか?/
土台を替えるかどうかは、慎重に
今入っている金属の土台を外して替えるときは、土台を外す際に歯の根に負担がかかることがあります。見た目が気になる場合でも、歯の根の状態や、その歯にかかる力を確かめたうえで、替えるかどうかを判断することが大切です。
こんな方は一度ご相談ください
- 差し歯の根元や歯ぐきが、黒っぽく見える
- 白い差し歯なのに、根元だけ暗く見える
- 金属の土台が入った歯がある
- 差し歯が外れたことがある
- 神経を取った歯が何本もある
- 食いしばり・歯ぎしりを指摘されたことがある
- これから差し歯をする予定がある
ひとつでも当てはまる場合、見た目の変化や歯の根の負担の原因が、土台にある可能性があります。
この記事のまとめ
✅ 差し歯の中には、被せ物を支える土台が入っている
✅ 金属の土台は、溶け出した成分や透けた色で、根元や歯ぐきを黒っぽく見せることがある
✅ 硬い金属の土台に強い力が加わると、歯の根が割れることがある
✅ ファイバーコアは歯に近い性質を持つが、接着の手順が結果を大きく左右する
✅ 土台を替えるかどうかは、歯の根の状態と力のかかり方を確かめてから判断する
よくあるご質問
Q1. 歯ぐきの黒ずみは、歯みがきで取れますか?
金属の成分が歯の根や歯ぐきに沈着している場合は、歯みがきでは取れません。一方で、汚れや歯ぐきの炎症が関わっていることもあります。原因によって対応が違うため、まずお口の中とレントゲンで確かめることをおすすめします。
Q2. 金属の土台が入っていると、必ず歯の根が割れますか?
必ず割れるわけではありません。割れるかどうかには、歯の壁の厚さや、その歯にかかる噛む力の大きさが大きく関わります。力が集中していないかを、咬み合わせの検査で確かめることができます。
Q3. 今の金属の土台を、ファイバーコアに替えたほうがよいですか?
土台を外すときに歯の根に負担がかかることもあるため、一概には言えません。見た目の悩み、歯の根の状態、かかる力を確かめたうえで、替えるかどうかを一緒に考えます。
Q4. ファイバーコアは保険でもできると聞きました。
2016年から、ファイバーポストを使った土台は保険でもつくれるようになりました。当院の自由診療では、接着の手順を細かく行うファイバーコアを主に使っています。費用や違いは、検査の結果をお見せしたうえでご説明します。
Q5. 他の歯科医院で入れた差し歯ですが、相談してもよいですか?
はい。今の状態を検査でお見せし、ご自身で判断していただくための相談として受けていただけます。いきなり治療を始めることはありません。
治療のご相談は
「差し歯の根元の色が気になる」「金属の土台が入った歯が、この先大丈夫か心配」──そう感じておられる方は、まず今の土台と歯の根の状態を確かめてみませんか。
当院では、パノラマレントゲンと咬み合わせの検査で今の状態をお見せしたうえで、選べる方法をご説明します。必要に応じてCT撮影(自費・22,000円税込、ご説明と同意のうえで撮影)も行います。
→ 神経を残す虫歯治療(入口ページ):https://www.doctornet.jp/
ネット予約(24時間受付):https://www.cieasyapo2.ci-medical.com/1967/step1
お電話:087-818-1118(受付 9:15〜17:00、水・日・祝を除く)
執筆者
吉本歯科医院 院長 吉本彰夫
(一社)日本歯科専門医機構認定 補綴歯科専門医
(公社)日本補綴歯科学会認定 補綴歯科指導医
咬み合わせと補綴(入れ歯・被せ物など)を専門分野として、日々の診療にあたっております。
医療法人社団吉翔会 吉本歯科医院 香川県高松市屋島西町1968-9 TEL 087-818-1118

香川県 高松市 噛み合わせ専門歯科医院 吉本歯科医院の吉本彰夫。歯学博士。放送大学講師。歯を削らない治療・歯を抜かない治療・咬み合わせ治療を軸に診療を行っている。


