神経を取った歯がずっと痛い。「神経がないのに痛む」3つの原因と、確かめる順番
こんにちは。香川県高松市で咬み合わせを専門とする「吉本歯科医院」院長の吉本彰夫です。
「根の治療が終わって半年たつのに、噛むとまだ痛い」
「疲れたときや寝不足のときに、治療した歯がうずく」
「神経を取ったのに、どうして痛むのですか」
当院には、毎日のようにこうしたご相談が寄せられます。そのほとんどの方が「どうして痛むのか分からない」「自分の体質が悪いのだろうか」と不安に思っておられます。
神経を取ったのに痛みが続く。それは、あなたのせいではありません。我慢が足りないからでも、歯が弱いからでもありません。痛みには種類があり、「どこから来ている痛みなのか」がこれまで確かめられていなかった可能性があるのです。
この記事では、診療室で患者さんに実際にお話ししている内容をもとに、神経がない歯が痛む理由と、その原因を確かめる順番をお伝えします。
歯の痛みには2種類ある
結論から申し上げます。歯の痛みは、大きく分けて次の2種類があります。
- ① 歯の神経(歯髄・しずい)から来る痛み
- ② 歯の周り(歯周組織・ししゅうそしき)から来る痛み
神経を取る治療(根管治療・こんかんちりょう)で無くなるのは、①の痛みだけです。②の「歯の周りから来る痛み」は、神経を取ったあとも感じます。「神経がないのに痛い」のは、多くの場合この②の痛みです。
① 歯の神経から来る痛み

歯の中心には、神経と血管が通っています。冷たいものを食べたときに「キーンとしみる」のは、この神経が刺激を感じているからです。
虫歯が深くなると、ズキンズキンと脈打つような強い痛みが出ます。ここまで進むと、神経を取る治療が必要になることが多くなります。神経から来る痛みは「ピリッとする」「鋭い」と表現されることが多いのが特徴です。
② 歯の周りから来る痛み

歯は、歯槽骨(しそうこつ)という骨に支えられています。歯と骨の間には、歯根膜(しこんまく)というクッションのような薄い膜があります。歯肉(はぐき)も含め、歯の周りの組織をまとめて歯周組織と呼びます。
この歯根膜や骨にも神経があるため、炎症が起きたり強い力がかかったりすると痛みを感じます。こちらは「うずく」「鈍い痛み」「浮いた感じ」と表現されることが多い痛みです。痛みの感じ方には個人差があるので、あくまでも目安としてお考えください。
神経がない歯が痛む3つの原因
神経を取った歯が痛む場合、②の「歯の周りから来る痛み」の原因として、主に次の3つが考えられます。
原因1:根の先に炎症が残っている(根尖性歯周炎)

根管治療は、歯の中の感染した神経や細菌を取り除き、きれいにしてから薬を詰める治療です。ただ、根の中の細菌を完全にゼロにすることは、とても難しいのが実情です。
根の先にわずかに残った細菌が、骨の中で炎症を起こすことがあります。これを根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)と呼びます。噛むと痛い、歯茎が腫れる、といった症状が出ます。
原因2:根の中の細かい枝に、神経や細菌が取り残されている

教科書の図では、歯の神経は3〜4本の太い管としてくっきり描かれています。しかし実際の歯の中では、神経はクモの巣のように細かく枝分かれしています。
この細かい枝の一本一本まで、器具ですべて取り切ることは難しいのです。取り残した部分に細菌が残ると、痛みが続く原因になります。太い枝に取り残しがあれば、痛みはなおさら出やすくなります。
原因3:歯に強い力がかかっている、または根にひびがある
神経を取った歯は、内部が削られ、水分も失われるため、健康な歯より割れやすくなっています。その歯だけに強い噛む力が集中していると、歯根膜が圧迫されて痛みます。さらに力がかかり続けると、根にひびが入る(歯根破折・しこんはせつ)こともあります。
「疲れているときや寝不足が続くとうずく」という場合は、体の抵抗力が落ちて炎症が表に出ていることもあれば、食いしばりが強くなって力が集中していることもあります。
→ 歯根破折と診断された方は:https://a-rainbow.jp/
痛みの原因を確かめる順番
3つの原因のどれにあたるかで、必要な対応はまったく変わります。根の再治療をしても、原因が力の集中であれば痛みは残りますし、その逆もあります。だからこそ、治療を決める前に原因を確かめることが大切です。当院では、次の順番で確かめます。
- ① 問診:いつ、どんなときに、どんな痛みが出るのか(鋭い痛みか、うずく痛みか)
- ② パノラマレントゲン:根の先の炎症や骨の状態、根の治療の状態を確認する
- ③ 咬み合わせの検査:その歯だけに力が集中していないかを確かめる
- ④ 必要に応じてCT撮影(自費・22,000円税込、ご説明と同意のうえで撮影):根のひびや炎症の広がりを立体的に確認する
そのうえで、根の中の細菌に対する治療が必要なのか、力のかかり方を整える必要があるのか、あるいは両方なのかをご説明します。
→ 神経を取った歯に、その後起きること(解説ページ):https://www.kagawacsw.jp/juken-html/
→ 根管治療(歯の神経治療)について詳しくは:https://a-kawaramachi.com/
こんな方は一度ご相談ください
- 根の治療が終わって数か月たっても、噛むと痛い
- 疲れたときや寝不足のときに、治療した歯がうずく
- 神経を取った歯の歯茎が、ときどき腫れる
- 根の治療を何度もやり直している
- 治療した歯が浮いたような感じがする
- 食いしばり・歯ぎしりの自覚がある
- 「様子を見ましょう」と言われたまま、痛みが続いている
ひとつでも当てはまる場合、痛みの原因は根の中だけでなく、歯の周りや力のかかり方にある可能性があります。
この記事のまとめ
✅ 歯の痛みには、神経から来る痛みと、歯の周りから来る痛みの2種類がある
✅ 神経を取っても、歯の周り(歯根膜・骨)の痛みは残るため、「神経がないのに痛い」ことは起こりうる
✅ 原因は主に、根の先の炎症、根の中の細かい枝の取り残し、力の集中や根のひびの3つ
✅ 原因によって必要な対応はまったく違うため、治療を決める前に原因を確かめることが大切
✅ 問診・レントゲン・咬み合わせの検査(必要に応じてCT)の順で、痛みの出どころを確かめる
よくあるご質問
Q1. 神経を取った歯が痛むのは、めずらしいことですか?
めずらしいことではありません。歯の中は細かい枝のように複雑で、根の中の細菌を完全にゼロにすることはとても難しいものです。また、力の集中や根のひびなど、根の中とは別の原因で痛むこともあります。どれにあたるかは、検査で確かめる必要があります。
Q2. 痛み止めを飲んで様子を見てもよいですか?
一時的に痛みが引いても、原因が残っていれば繰り返すことがあります。とくに根のひびや力の集中が原因の場合、様子を見ている間に進んでしまうことがあります。痛みが続く場合は、早めに原因を確かめることをおすすめします。
Q3. 疲れると痛むのはなぜですか?
体の抵抗力が落ちると、根の先に残っていた小さな炎症が表に出てくることがあります。また、疲れているときは無意識の食いしばりが強くなり、その歯に力が集中していることもあります。
Q4. 根の治療をやり直せば痛みは止まりますか?
痛みの原因が根の中の細菌であれば、やり直しで改善することがあります。ただ、力の集中や根のひびが原因であれば、やり直しだけでは痛みが残ることがあります。やり直すかどうかを決める前に、原因を確かめることが大切です。
Q5. 他の歯科医院で治療中ですが、相談してもよいですか?
はい。今の状態を検査でお見せし、ご自身で判断していただくための相談として受けていただけます。いきなり治療を始めることはありません。
治療のご相談は
「神経を取ったのに、まだ痛い」「根の治療を何度もしているのに、また腫れた」──そう感じておられる方は、次の治療を決める前に、その痛みがどこから来ているのかを確かめてみてください。
当院では、パノラマレントゲンと咬み合わせの検査で今の状態をお見せしたうえで、選べる方法をご説明します。神経を残す治療・削る量を抑える治療については、入口ページで詳しく説明しています。
→ 神経を残す虫歯治療・根管治療(入口ページ):https://www.doctornet.jp/
ネット予約(24時間受付):https://www.cieasyapo2.ci-medical.com/1967/step1
お電話:087-818-1118(受付 9:15〜17:00、水・日・祝を除く)
執筆者
吉本歯科医院 院長 吉本彰夫
(一社)日本歯科専門医機構認定 補綴歯科専門医
(公社)日本補綴歯科学会認定 補綴歯科指導医
咬み合わせと補綴(入れ歯・被せ物など)を専門分野として、日々の診療にあたっております。
医療法人社団吉翔会 吉本歯科医院 香川県高松市屋島西町1968-9 TEL 087-818-1118

香川県 高松市 噛み合わせ専門歯科医院 吉本歯科医院の吉本彰夫。歯学博士。放送大学講師。歯を削らない治療・歯を抜かない治療・咬み合わせ治療を軸に診療を行っている。


