毎日みがいているのに歯を失うのはなぜ?抜歯の原因は、虫歯菌や歯周病菌だけではありません
こんにちは。香川県高松市で咬み合わせを専門とする「吉本歯科医院」院長の吉本彰夫です。
「毎日きちんとみがいているのに、また歯を抜くことになった」
「定期健診に通っていたのに、なぜ歯が割れたのか分からない」
歯を失う原因というと、多くの方が虫歯と歯周病を思い浮かべます。だからこそ、毎日の歯みがきや定期的なお掃除を大切にしておられるのだと思います。
それでも歯を失ってしまったなら、それは、あなたのせいではありません。歯を失う原因には、歯みがきでは防げないもう一つの原因があるからです。それが、毎日の「噛む力」です。
歯を失う原因は、3つある

全国の調査では、永久歯を抜く主な原因は、歯周病、虫歯、そして歯の破折(歯が割れる・折れる)の順になっています。
- ① 虫歯 ── 虫歯菌が歯を溶かす
- ② 歯周病 ── 歯周病菌が歯を支える骨を溶かす
- ③ 歯の破折 ── 噛む力が歯を割る・折る
①と②は細菌による病気なので、歯みがきやお掃除で予防することができます。けれども③の原因は細菌ではなく「力」です。歯みがきをどれだけていねいにしても、力による破壊を防ぐことはできません。
神経のある健康な歯でも、力で割れる

上の写真は、神経が残っている健康な歯が、根まで真っ二つに割れてしまった例です。上下の歯が噛み合う力によって、薪割りのように割れたのです。
歯が割れるのは一瞬です。一晩で割れてしまう方もいらっしゃいます。どれだけ定期的にお掃除に通っていても、どれだけ毎日みがいていても、噛む力への備えがなければ、歯は割れたり折れたりすることがあるのです。
→ 激痛の原因は虫歯ではなく「歯が割れていた」(体験談):https://www.kagawacsw.jp/2021/02/17/虫歯ができて激痛だと思ったら歯が割れていた/
なぜ「力」は見落とされやすいのか
細菌による病気は、歯みがきの習慣や、しみる・腫れるといった症状で、ある程度ご自身でも気づくことができます。一方、噛む力には、次のような特徴があります。
- 自分の噛む力の強さは、自分では分からない
- 寝ている間の食いしばりや歯ぎしりは、本人が気づけない
- 力によるダメージは、ひびが入ったり割れたりするまで、痛みが出にくい
- 初期の小さなひびは、レントゲンに写りにくい

とくに寝ている間の食いしばりや歯ぎしりは、起きているときよりも強い力になることがあります。その力が、毎晩、気づかないうちに積み重なっていくのです。
力は、虫歯や歯周病も悪化させる
力の影響は、歯が割れることだけではありません。
- 詰め物や被せ物と歯の境目が力で少しずつ開き、そこから細菌が入って虫歯が再発しやすくなる
- 歯周病で支えが弱っている歯に強い力がかかると、歯を支える骨が溶けるのが早まることがある
- ブリッジの土台の歯が揺さぶられ、だめになりやすくなる
つまり、細菌と力は、別々に歯を傷めるだけでなく、重なり合って歯を失う原因をつくっていることが少なくないのです。
→ 同じ歯を何度も治療していませんか:https://www.kagawacsw.jp/2020/11/30/何度も同じところが虫歯になっていませんか?/
→ ブリッジの寿命を決めるのは「土台の歯」と「噛む力」:https://www.kagawacsw.jp/2020/08/20/ブリッジ治療の寿命/
力が歯を壊しているサイン
次のような変化は、歯に強い力がかかっているサインかもしれません。
- 歯の先がすり減って平らになっている
- 歯の一部が欠けた、詰め物がよく取れる
- 歯の根元がくさび形にえぐれている
- 冷たいものがしみるが、虫歯はないと言われた
- 朝起きたときに、顎が疲れている、歯が浮いた感じがする
- 特定の歯だけ、噛むと響くような痛みがある
力から歯を守るためにできること
歯を失わないためには、細菌への対策(歯みがき・お掃除)に加えて、力への対策をもう一つの柱にすることが大切です。
- ① 咬み合わせの検査で、どの歯に力が集中しているかを知る
- ② 寝ている間は、歯を守るためのマウスピースを着ける
- ③ 強く当たりすぎている部分があれば、咬み合わせを調整する
- ④ 日中、無意識に食いしばっていることに気づいたら、力を抜く
当院では、夜間の食いしばりから歯を守るためのマウスピースをおすすめしています。マウスピースが数か月で割れたり穴があいたりする方もいらっしゃいますが、それは、本来なら歯が受けていたはずの力を、マウスピースが代わりに受け止めてくれた証拠です。
→ 奥歯に亀裂を入れたのは「夜の噛む力」でした(体験談):https://www.kagawacsw.jp/2020/04/18/奥歯が激痛!歯に亀裂が入った原因は破壊的な力/
→ 歯根破折で抜歯と言われた方へ:https://www.kagawacsw.jp/2022/02/25/歯根破折と診断を受けた方へ/
こんな方は一度ご相談ください
- 毎日みがいているのに、歯を失ったことがある
- 定期健診に通っているのに、歯が割れたり欠けたりした
- 詰め物や被せ物が、よく取れる
- 歯がすり減っている、根元がえぐれている
- 朝起きると、顎が疲れている
- 食いしばり・歯ぎしりを指摘されたことがある
ひとつでも当てはまる場合、歯を傷めている原因は細菌だけでなく、噛む力にある可能性があります。
この記事のまとめ
✅ 歯を失う原因は、虫歯・歯周病・歯の破折の3つ。破折は抜歯の原因の第3位
✅ 歯の破折の原因は細菌ではなく力なので、歯みがきだけでは防げない
✅ 噛む力、とくに寝ている間の食いしばりは、ご自身では気づきにくい
✅ 力は、虫歯の再発や歯周病の悪化にも関わっている
✅ 細菌への対策に加えて、力への対策をもう一つの柱にすることが大切
よくあるご質問
Q1. 歯みがきをしっかりしていれば、歯は失わないのではないですか?
歯みがきは、虫歯と歯周病を防ぐためにとても大切です。ただ、歯を失う原因には噛む力もあり、こちらは歯みがきでは防げません。細菌と力の両方に備えることが、歯を守ることにつながります。
Q2. 自分が食いしばっているかどうか、どうすれば分かりますか?
朝起きたときの顎の疲れ、歯のすり減り、歯の根元のえぐれなどがサインになることがあります。ただ、ご自身では分かりにくいことが多いので、咬み合わせの検査で、どの歯に力がかかっているかを確かめることをおすすめします。
Q3. 市販のマウスピースではだめですか?
市販のものは、お口に合わせて作られていないため、かえって顎や歯に負担がかかることがあります。どの歯に力が集中しているかを確かめたうえで、お口に合ったものを使うことをおすすめします。
Q4. すでに歯が欠けたり、すり減ったりしています。もう遅いですか?
遅いということはありません。今の状態を確かめ、これ以上力で歯を傷めないように備えることが大切です。まずは検査で、どこにどのくらい力がかかっているかを確かめましょう。
Q5. 他の歯科医院に通っていますが、相談してもよいですか?
はい。今の状態を検査でお見せし、ご自身で判断していただくための相談として受けていただけます。いきなり治療を始めることはありません。
治療のご相談は
「毎日みがいているのに、なぜ歯を失うのか分からない」「これ以上、歯を失いたくない」──そう感じておられる方は、細菌だけでなく、噛む力が歯にどう影響しているのかを確かめてみませんか。
当院では、パノラマレントゲンと咬み合わせの検査で今の状態をお見せしたうえで、選べる方法をご説明します。必要に応じてCT撮影(自費・22,000円税込、ご説明と同意のうえで撮影)も行います。
ネット予約(24時間受付):https://www.cieasyapo2.ci-medical.com/1967/step1
お電話:087-818-1118(受付 9:15〜17:00、水・日・祝を除く)
執筆者
吉本歯科医院 院長 吉本彰夫
(一社)日本歯科専門医機構認定 補綴歯科専門医
(公社)日本補綴歯科学会認定 補綴歯科指導医
咬み合わせと補綴(入れ歯・被せ物など)を専門分野として、日々の診療にあたっております。
医療法人社団吉翔会 吉本歯科医院 香川県高松市屋島西町1968-9 TEL 087-818-1118

香川県 高松市 噛み合わせ専門歯科医院 吉本歯科医院の吉本彰夫。歯学博士。放送大学講師。歯を削らない治療・歯を抜かない治療・咬み合わせ治療を軸に診療を行っている。


