なぜ、歯の神経を残すことにこだわるのか。「削って取る」から「菌を減らして守る」へ
こんにちは。香川県高松市で咬み合わせを専門とする「吉本歯科医院」院長の吉本彰夫です。
「虫歯が深いので、神経を取るしかないと言われた」
「虫歯の治療は、削って詰めるものだと思っていた」
「神経を残せるなら、残したい」
虫歯の治療と聞くと、多くの方が「悪いところを削り取って、詰め物や被せ物でふたをする」治療を思い浮かべます。これまでに何本も神経を取ってきた方もいらっしゃると思います。
それは、あなたのせいではありません。痛みを止めるために必要だったことも多く、神経を残すという選択肢があることを知る機会がなかっただけなのです。
この記事では、当院がなぜ歯の神経を残すことにこだわるのか、そしてそのための治療がどのような考え方で行われているのかをお伝えします。
神経を残すことにこだわる3つの理由
1. 神経は、一度取ると元に戻らない
歯の神経は、一度取ってしまうと二度と元には戻りません。神経を取るということは、神経と一緒に通っている血管も取り除くということです。その歯には、もう栄養や水分が届かなくなります。
2. 神経を取った歯は、もろく割れやすくなる
栄養が届かなくなった歯は、枯れ木のようにもろくなっていきます。さらに、痛みという「警報」がなくなるため、異常に気づくのが遅れやすくなります。その先にあるのが、歯が割れて抜歯になる、という結末です。
→ 神経を取ると歯に何が起こるのか(詳しい解説):https://www.kagawacsw.jp/2020/07/28/歯の神経を取るとどんなことが起こるのか?/
3. 削るたびに、歯は少なくなっていく

削った歯は元に戻りません。治療をくり返すたびに削る量は増え、神経に近づき、やがて神経を取る治療が必要になります。同じ歯の治療をくり返すほど、歯の寿命は短くなっていくのです。
→ 同じ歯を何度も治療していませんか:https://www.kagawacsw.jp/2020/11/30/何度も同じところが虫歯になっていませんか?/
「削り取る」から「菌を減らして守る」へ
これまでの虫歯治療の多くは、「黒く変色した悪いところをすべて削り取る」という、いわば外科的な考え方に立っています。悪いところを取り除くことは大切ですが、削る量が多くなるほど神経に近づき、しみたり痛んだりしやすくなります。
当院で行っている治療は、考え方が違います。虫歯の原因は、歯そのものではなく「細菌」です。そこで、歯を大きく削り取るのではなく、ごく微量の抗菌薬で細菌を減らし、すき間なく封鎖して、細菌が再び入り込めないようにする。いわば内科的な考え方の治療です。
- 削り取る治療:悪いところを取り除く → 削る量が増え、神経に近づきやすい
- 菌を減らして守る治療:原因の細菌を減らし、封鎖する → 削る量を抑え、神経を残せる可能性がある
神経を残す治療のしくみ

- ① 虫歯の部分を最小限だけ削り、抗菌薬を塗って、いったん封をする
- ② 細菌が減ることで、多くの方は数日から1週間ほどで痛みが軽くなっていく
- ③ 黒く変色した部分も、細菌を減らしたうえで、神経に近いところは残す
- ④ 歯の表面を薬剤で処理し、しっかり乾かしてから、すき間なく封鎖できる詰め物・被せ物を装着する


この治療で大切なのは、薬で細菌を減らすことと、それを閉じ込めて二度と細菌を入れない「封鎖」の確かさです。どれだけ薬で細菌を減らしても、封鎖にすき間があれば、そこから細菌が入り込んでしまいます。院長の吉本彰夫は、四国の開業医では唯一の接着歯学認定医です。接着と封鎖の手順を、一つひとつ確実に行っています。
→ 治療の流れと封鎖の大切さ(詳しい解説):https://www.kagawacsw.jp/2020/11/30/何度も同じところが虫歯になっていませんか?/
神経を残せる場合と、残せない場合
神経を残す治療は、すべての歯に向いているわけではありません。次のような場合は、神経を残すのが難しく、神経を取る治療が必要になることがあります。
- 細菌が神経の奥深くまで広がり、神経そのものがすでに弱っている
- 何もしなくてもズキズキと強い痛みが続いている
- 歯にひびが入っている
- すき間なく封鎖できる状態をつくれない
痛みが引かない場合には、封鎖が十分でない、歯にひびがある、細菌の量が多い、神経の一部がすでに弱っている、といった可能性を考えて確かめます。残せるかどうかは、検査の結果をお見せしたうえでご説明します。
この治療は、すべて自由診療で行っています。現在の保険診療で認められている材料や接着の方法では、同じ処理を行うことが難しいためです。
→ 神経を残す虫歯治療(入口ページ):https://www.doctornet.jp/
こんな方は一度ご相談ください
- 「神経を取るしかない」と言われ、迷っている
- 冷たいものや甘いものが、しみるようになった
- できるだけ歯を削りたくない
- 同じ歯の治療を、何度もくり返している
- すでに神経を取った歯が何本もあり、これ以上増やしたくない
ひとつでも当てはまる場合、神経を取るかどうかを決める前に、残せる可能性があるかを確かめることをおすすめします。
この記事のまとめ
✅ 歯の神経は、一度取ると元に戻らない
✅ 神経を取った歯は、もろく割れやすくなり、異常にも気づきにくくなる
✅ 虫歯の原因は細菌。削り取るのではなく、菌を減らして封鎖する考え方がある
✅ 神経を残す治療の要は、細菌を減らすことと、すき間のない封鎖
✅ 向いている場合と向かない場合があり、残せるかどうかは検査で確かめる
よくあるご質問
Q1. 「神経を取るしかない」と言われた歯でも、残せることはありますか?
状態によっては、残せる場合があります。一方で、細菌が神経の奥深くまで広がっている場合や、歯にひびがある場合などは、残すのが難しいこともあります。どちらにあたるかは、検査で確かめてからご説明します。
Q2. 黒い部分を削らずに残しても、大丈夫なのですか?
黒く変色している部分がすべて細菌に侵されているわけではありません。薬で細菌を減らし、すき間なく封鎖して細菌が入り込めないようにしたうえで、神経に近いところは残します。封鎖の確かさが、この治療の要です。
Q3. 治療のあと、痛みはどのくらいで治まりますか?
多くの方は、数日から1週間ほどで痛みが軽くなっていきます。痛みが引かない場合は、封鎖の状態や歯のひび、神経の状態などを確かめます。
Q4. 保険で受けることはできますか?
神経を残すための特殊接着封鎖技術を使った治療は、すべて自由診療で行っています。費用は、検査の結果をお見せしたうえでご説明します。
Q5. 他の歯科医院で治療中ですが、相談してもよいですか?
はい。神経を取るかどうかをご自身で判断していただくための相談として受けていただけます。検査の結果をお見せしてご説明しますので、いきなり治療を始めることはありません。
治療のご相談は
「神経を取るしかないと言われたけれど、残せるなら残したい」「これ以上、神経を取った歯を増やしたくない」──そう感じておられる方は、決める前に、残せる可能性があるかを確かめてみませんか。
当院では、パノラマレントゲンと咬み合わせの検査で今の状態をお見せしたうえで、選べる方法をご説明します。必要に応じてCT撮影(自費・22,000円税込、ご説明と同意のうえで撮影)も行います。
→ 歯根破折で抜歯と言われた方へ:https://www.kagawacsw.jp/2022/02/25/歯根破折と診断を受けた方へ/
ネット予約(24時間受付):https://www.cieasyapo2.ci-medical.com/1967/step1
お電話:087-818-1118(受付 9:15〜17:00、水・日・祝日を除く)
執筆者
吉本歯科医院 院長 吉本彰夫
(一社)日本歯科専門医機構認定 補綴歯科専門医
(公社)日本補綴歯科学会認定 補綴歯科指導医
咬み合わせと補綴(入れ歯・被せ物など)を専門分野として、日々の診療にあたっております。
医療法人社団吉翔会 吉本歯科医院 香川県高松市屋島西町1968-9 TEL 087-818-1118

香川県 高松市 噛み合わせ専門歯科医院 吉本歯科医院の吉本彰夫。歯学博士。放送大学講師。歯を削らない治療・歯を抜かない治療・咬み合わせ治療を軸に診療を行っている。


