「神経を取りましょう」と言われた歯。その神経が残せるかどうかは、どうやって見分けるのか
こんにちは。香川県高松市で咬み合わせを専門とする「吉本歯科医院」院長の吉本彰夫です。
「神経を取らないといけないと言われたけれど、本当にそうなのか知りたい」
「痛みはそれほどないのに、神経を取ると言われて戸惑っている」
「別の歯科医院では、残せるかもしれないと言われた。どちらが正しいのか分からない」
そのほとんどの方が「神経を取るかどうかは、誰が診ても同じ答えになるはずだ」とお考えです。しかし実際には、神経の状態をどう見るか、どこまでを残せると考えるかによって、判断が分かれることが少なくありません。
言われたことに迷っている。それは、あなたのせいではありません。「神経を取る」という言葉には、じつは二つのまったく違う意味があり、そのどちらなのかが説明される機会がなかっただけなのです。
この記事では、「神経を取りましょう」という言葉の二つの意味と、神経が残せるかどうかを見分けるために、当院が何を確かめているのかをお話しします。
「神経を取る」には、二つの意味があります
同じ「神経を取りましょう」という言葉でも、歯の中で起きていることは大きく二つに分かれます。
まだ生きている神経を、これから取る場合
神経は今のところ働いているけれども、虫歯が近くまで来ている。このまま治療を進めると神経が傷むかもしれないので、先に取っておこう、という場合です。
すでに働きを失った神経を、取り除く場合
神経がすでに死んでいる、またはほとんど働きを失っていて、中で傷んでいる状態です。この場合は、そのままにしておくと周りに悪い影響が広がるため、取り除く処置が必要になります。
一度働きを失った神経を、元に戻すことはできません。神経を残せる可能性があるのは、前者の「まだ生きている神経」の場合です。ご自分の歯がどちらなのかを知ることが、最初の一歩になります。
神経が残せるかを見分ける手がかり
神経の状態は、一つの検査だけで決まるものではありません。当院では、いくつかの手がかりを重ねて判断しています。
痛みの出方をうかがう
いつ、どんなときに、どのくらい痛むのか。冷たいものでしみてすぐ治まるのか、何もしなくてもズキズキと脈打つように痛むのか。痛みの出方は、神経の状態を知る大切な手がかりです。
レントゲンで、虫歯の深さと根の先を確かめる
パノラマレントゲンなどで、虫歯がどこまで進んでいるか、根の先に炎症の影がないかを確認します。根の先の状態をさらに詳しく見る必要があるときは、歯科用CTをおすすめすることがあります。CTは自費(22,000円・税込)で、ご説明して了承をいただいてから撮影します。
神経の反応を調べる
冷たい刺激への反応を確かめたり、弱い電気を当てて神経が反応するかを調べる検査(電気歯髄診断)を行ったりします。反応のしかたから、神経がまだ働いているかどうかを推し量ります。
これらはどれも、目安を与えてくれるものです。一つの結果だけで決めず、組み合わせて考えることが大切です。
残せる可能性がある歯と、残すのが難しい歯
あくまで一般的な目安ですが、次のように考えています。
残せる可能性がある歯
- 冷たいものでしみるが、刺激がなくなるとすぐに治まる
- 何もしなくても痛む、ということはない
- 神経の反応を調べると、まだ反応がある
- レントゲンで、根の先に炎症の影が見られない
残すのが難しいことが多い歯
- 何もしなくても、ズキズキと脈打つように痛む
- 夜、痛みで目が覚める
- 熱いものでひどく痛み、冷やすと楽になる
- 神経の反応がない、または根の先に炎症の影がある
残すのが難しい状態で無理に神経を残そうとすると、かえって痛みが長引いたり、根の先に炎症が広がったりすることがあります。残せない場合があることも、正直にお伝えしています。
神経に近いところを「触るかどうか」で、結果が変わることがあります
神経が残せるかどうかは、歯の状態だけでなく、治療の進め方にも左右されます。
虫歯の部分をすべて取り除こうとして神経の近くまで削り進めると、そこで神経が傷み、結果として神経を取ることになりやすくなります。当院では、神経に近い部分は無理に削り取らず、薬で細菌を減らして封鎖する方法をとることがあります。
ただし、すでに神経のすぐ近くまで削られている歯では、薬を閉じ込めておくための壁が残っておらず、この方法がとれないこともあります。だからこそ、削り進める前の段階で状態を確かめることが大切なのです。
治療の段階ごとに確かめられることは、こちらにまとめています。
→ 歯を削る前に、神経を取る前に。治療のどの段階でも、確かめられることがあります
神経を取ると歯に何が起こるのかは、こちらでお話ししています。
→ 歯の神経を取ると、歯に何が起こるのか
判断が分かれるのは、おかしなことではありません
歯科医師によって判断が分かれることに、不安を感じる方もいらっしゃいます。けれども、これは誰かが間違っているということではありません。
神経の状態は、外から直接見ることができないため、いくつかの手がかりから推し量るしかありません。そして、どこまでを残せると考えるかは、それぞれの歯科医師が大切にしている考え方や得意とする分野によって変わります。
迷ったときは、ご自分の歯がどんな状態なのか、なぜその判断になるのかを、検査の結果を見ながら説明してもらうことが一番の助けになります。
こんな方は一度ご相談ください
- 「神経を取りましょう」と言われ、ほかの方法がないか知りたい
- 痛みは軽いのに、神経を取ると言われた
- 冷たいものがしみるが、すぐに治まる
- 治療中の歯について、別の意見も聞いてみたい
- 以前に神経を取った歯が、その後割れたり痛んだりした
- できるだけ神経を残したいと考えている
- 自分の歯の神経が、今どんな状態なのか知りたい
ひとつでも当てはまる場合、神経を取るかどうかを決める前に、まずその神経の状態を確かめてみてください。
この記事のまとめ
✅ 「神経を取る」には、生きている神経を取る場合と、働きを失った神経を取り除く場合がある
✅ 神経を残せる可能性があるのは、まだ神経が働いている場合
✅ 痛みの出方・レントゲン・神経の反応を調べる検査を組み合わせて判断する
✅ 強い痛みが続く場合など、神経を残すのが難しいこともある
✅ 削り進める前に状態を確かめることが、神経を残す可能性を広げる
よくあるご質問
Q1. 一度死んでしまった神経を、生き返らせることはできますか?
残念ながら、一度働きを失った神経を元に戻すことはできません。神経を残せる可能性があるのは、まだ神経が働いている場合です。ご自分の歯がどちらの状態なのかを、まず検査で確かめることが大切です。
Q2. 痛みがないなら、神経はまだ大丈夫ということですか?
そうとは限りません。神経が働きを失うと、かえって痛みを感じなくなることがあります。痛みがないことだけで判断せず、レントゲンや神経の反応を調べる検査で状態を確かめることをおすすめします。
Q3. ズキズキ痛む歯でも、神経を残せますか?
何もしなくても脈打つように痛む場合は、神経に強い炎症が起きているか、すでに一部が働きを失っていることが多く、残すのは難しい場合が少なくありません。ただ、最終的な判断は検査の結果を見てからになりますので、まずはご相談ください。
Q4. 神経を残す治療は、保険でできますか?
当院で行っている、薬で細菌を減らして特殊接着封鎖技術で封鎖する治療は、すべて自由診療です。費用は歯の状態によって変わりますので、検査の結果をもとに、ほかの方法とあわせてご説明します。
Q5. ほかの歯科医院で「神経を取る」と言われました。相談だけでもよいですか?
はい。ご自身で判断していただくためのご相談として受けていただけます。今の状態を検査でお見せしたうえで、考えられる方法をご説明します。その場で治療を始めることはありませんので、安心してご相談ください。
治療のご相談は
「神経を取りましょう」と言われて迷っておられる方は、取るか残すかを決める前に、その神経が今どんな状態なのかを確かめてみてください。
当院では、症状をうかがい、パノラマレントゲンなどの検査で今の状態をお見せしたうえで、選べる方法をご説明します。
ネット予約(24時間受付):https://www.cieasyapo2.ci-medical.com/1967/step1
お電話:087-818-1118(受付 9:15〜17:00、水・日・祝日を除く)
執筆者
吉本歯科医院 院長 吉本彰夫
(一社)日本歯科専門医機構認定 補綴歯科専門医
(公社)日本補綴歯科学会認定 補綴歯科指導医
咬み合わせと補綴(入れ歯・被せ物など)を専門分野として、日々の診療にあたっております。
医療法人社団吉翔会 吉本歯科医院 香川県高松市屋島西町1968-9 TEL 087-818-1118

香川県 高松市 噛み合わせ専門歯科医院 吉本歯科医院の吉本彰夫。歯学博士。放送大学講師。歯を削らない治療・歯を抜かない治療・咬み合わせ治療を軸に診療を行っている。


