「削らない治療」と「MI治療」は同じ?削る量を抑える虫歯治療で、本当に大切なのは「削ったあと」でした

こんにちは。香川県高松市で咬み合わせを専門とする「吉本歯科医院」院長の吉本彰夫です。

「MI治療なら、歯をまったく削らずに治せると聞きました」

「できるだけ削らないでほしいと伝えたのに、大きく削られてしまった」

「削る量が少ない治療は、すぐにまた虫歯になるのでは、と心配です」

そのほとんどの方が「削る量さえ少なければ、歯は長持ちする」とお考えです。しかし実際に拝見すると、削った量よりも、削ったあとの歯と詰め物がどうつながっているかで、その後が大きく変わることが少なくありません。

これまでたくさん削られてきた。それは、あなたのせいではありません。虫歯の部分はすべて削り取る、という考え方が長く当たり前とされてきたからです。そして、削る量を抑えるために何が欠かせないのかが、これまで説明される機会がなかっただけなのです。

この記事では、「MI治療」という言葉の本当の意味と、削る量を抑える治療を支えている「削ったあと」の工程についてお話しします。

「MI」は「削らない」という意味ではありません

MIとは、ミニマル・インターベンション(Minimal Intervention)の頭文字で、「歯に手を加える量をできるだけ少なくする」という考え方のことです。

よく誤解されるのですが、「まったく削らない」という意味ではありません。虫歯の治療では、多くの場合、ある程度は歯を削ります。MIの考え方は、

  • 削る必要のあるところだけを、必要な分だけ削る
  • 残せる歯の部分は、できるだけ残す
  • 一度で終わらせず、その後も悪くならないことを目指す

というものです。ですから、当院では「削らない治療」ではなく「削る量を抑える治療」とお伝えしています。言葉の違いは小さく見えますが、期待していただく内容がずれないよう、ここは正確にお話ししておきたいと考えています。

「悪いところは全部取る」という考え方の、もう一つの面

従来の虫歯治療は、虫歯で色が変わった部分を、悪いところとしてすべて取り除くという考え方でした。理にかなった方法に見えます。

ただ、虫歯の部分を取り切ろうとすると、どうしても健康な部分まで一緒に削ることになります。とくに虫歯が深いと、削り進めるうちに神経(歯髄・しずい)に近づき、「神経を取りましょう」という話になりやすくなります。

一方で、色が変わった部分のすべてが細菌に深く侵されているとは限りません。表面の細菌の多い部分を取り除き、残った部分の細菌を薬で減らして守る、という考え方もあります。どちらが合うかは、歯の状態によって変わります。

削る量を抑えると、なぜ「その後」が問題になるのか

削る量を抑えた治療には、気をつけなければならない点があります。それは、詰め物と歯の間に、目に見えないすき間ができやすいことです。

詰め物は、ただ置いてあるだけでは歯と一体になりません。すき間が残ると、そこから細菌が入り込み、中で虫歯が再発することがあります。せっかく削る量を抑えても、境目から悪くなってしまえば、結局は大きく削ることになりかねません。

詰め物と歯の境目から虫歯が再発するしくみは、こちらでお話ししています。
→ 治した歯がまた虫歯に。同じ場所で再発する原因は「詰め物との境目」にあります

つまり、削る量を抑える治療は、「削ったあと」にすき間なく封鎖できて、はじめて意味を持つのです。

「くっついている」と「接着している」は違います

当院では、ただ歯に密着しているだけの状態と、歯と詰め物が一体になっている状態を、分けて考えています。前者を「密着」、後者を「接着」と呼んでいます。

接着を成り立たせるには、いくつもの条件がそろう必要があります。

乾いた状態をつくる

お口の中は、唾液と湿気でいっぱいです。接着の材料は水分に弱いため、処置をする歯のまわりを、しっかり乾いた状態に保つことが欠かせません。

歯の面に合わせて処理を変える

歯の表面のエナメル質と、その内側の象牙質(ぞうげしつ)では、性質が違います。それぞれに合った薬剤と手順で表面を整えます。

材料を適切な状態で使う

接着の材料は温度などの影響を受けやすいため、保管や扱い方にも注意を払っています。

こうした工程には時間がかかります。目に見えない部分ですが、削る量を抑えた歯を長く守るために、いちばん手間をかけているところです。

削る量を抑える治療が、合う歯と合わない歯

削る量を抑える治療は、すべての歯に向いているわけではありません。次のような場合は、別の方法を考える必要があることがあります。

  • 何もしなくてもズキズキと強く痛む
  • 神経がすでに弱っている、または働きを失っている
  • 細菌が神経の奥まで広がっている
  • くり返しの治療で、残っている歯の壁がとても薄い

どちらに当てはまるかは、見た目だけでは分かりません。症状をうかがい、レントゲンで状態を確かめたうえで判断します。

治療のどの段階でも確かめられることについては、こちらにまとめています。
→ 歯を削る前に、神経を取る前に。治療のどの段階でも、確かめられることがあります

当院で行っている治療と、費用について

当院では、薬で細菌を減らし、特殊接着封鎖技術で封鎖する方法で、削る量を抑える治療を行っています。この治療は、保険診療で認められている材料や手順では行うことができないため、すべて自由診療です。

費用や通院の回数は、歯の状態によって変わります。検査の結果をお見せしながら、ほかの方法と比べてご説明しますので、その場で決めていただく必要はありません。

こんな方は一度ご相談ください

  • 「神経を取りましょう」と言われ、ほかの方法がないか知りたい
  • できるだけ歯を削らずに治したい
  • 同じ歯を何度も削って詰め直している
  • 詰め物の縁が黒くなってきた
  • 治療した歯が、しばらくしてまたしみる
  • 「削らない治療」がどんなものか、まず話を聞いてみたい
  • 自分の歯が、削る量を抑える治療に向いているか知りたい

ひとつでも当てはまる場合、まずはその歯が今どんな状態なのかを確かめるところから始めてみてください。

この記事のまとめ

✅ MI治療は「まったく削らない」ではなく「削る量をできるだけ抑える」という考え方

✅ 悪いところをすべて削り取ろうとすると、健康な部分や神経まで失いやすい

✅ 削る量を抑えても、すき間なく封鎖できなければ、境目から再発しやすい

✅ 「密着」と「接着」は違い、接着には乾燥・表面処理・材料管理が欠かせない

✅ 向いている歯とそうでない歯があり、まず検査で状態を確かめることが大切

よくあるご質問

Q1. MI治療なら、虫歯をまったく削らずに治せますか?

多くの場合、ある程度は削ります。MI治療は「削る量をできるだけ抑える」という考え方で、まったく削らないという意味ではありません。表面の細菌の多い部分を取り除き、残った部分は薬で細菌を減らして封鎖します。どこまで削るかは、検査で歯の状態を確かめてから判断します。

Q2. 削る量が少ないと、かえって虫歯が残って再発しませんか?

そのご心配はもっともです。削る量を抑える治療では、薬で細菌を減らすことと、すき間なく封鎖することがセットになっています。封鎖が十分でないと、境目から再発することがあります。そのため当院では、削ったあとの工程にいちばん時間をかけています。

Q3. 保険で受けることはできますか?

薬で細菌を減らし、特殊接着封鎖技術で封鎖する治療は、保険診療で認められている材料や手順では行えないため、すべて自由診療です。費用は歯の状態によって変わりますので、検査の結果をもとに、ほかの方法と比べながらご説明します。

Q4. どんな歯でも、この治療を受けられますか?

すべての歯で行えるわけではありません。何もしなくても強く痛む場合や、神経がすでに働きを失っている場合などは、別の方法を考える必要があります。症状をうかがい、レントゲンで状態を確かめたうえで、向いているかどうかをご説明します。

Q5. ほかの歯科医院で治療中ですが、相談してもよいですか?

はい。ご自身で判断していただくためのご相談として受けていただけます。今の歯の状態を検査でお見せしたうえで、考えられる方法をご説明します。その場で治療を始めることはありませんので、安心してご相談ください。

治療のご相談は

「できるだけ削らないでほしい」「神経を取ると言われたけれど迷っている」──そう感じておられる方は、どの治療を選ぶかを決める前に、まずその歯が今どんな状態なのかを確かめてみてください。

当院では、パノラマレントゲンなどの検査で今の状態をお見せしたうえで、選べる方法をご説明します。

ネット予約(24時間受付):https://www.cieasyapo2.ci-medical.com/1967/step1

お電話:087-818-1118(受付 9:15〜17:00、水・日・祝日を除く)

執筆者

吉本歯科医院 院長 吉本彰夫

(一社)日本歯科専門医機構認定 補綴歯科専門医

(公社)日本補綴歯科学会認定 補綴歯科指導医

咬み合わせと補綴(入れ歯・被せ物など)を専門分野として、日々の診療にあたっております。

医療法人社団吉翔会 吉本歯科医院 香川県高松市屋島西町1968-9 TEL 087-818-1118

Follow me!

吉本歯科医院への初診ご予約はこちらからどうぞ

初診のご予約はこちらからどうぞ